はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」を書く早期退職者

《記憶に残っている、あの日》

いつもの「はてなブログのお題」だと思ってお題をクリックしてみると、インターネット文学賞とあるではないですか・・・。

僕はブログと異なるペンネームで小説も書いて電子書籍出版をしていますが、名だたる名作や文学賞受賞作品の1行足らずの表現力にも太刀打ちできない駄作なので、誰にもその存在を明かしていません。

また、「はてなブログのお題」で何かもらえた試しはないので今回も普通に書いて、文学賞なんて無視したブログです。

さて、「記憶に残っている、あの日」ですが、早期退職者としてはやはり会社を後にした日は外せません。

「身バレ」を防ぐために会社名は伏せておきますが、僕がいた会社はブラック企業でした。

そのブラック企業を何とか辞めて、精神的に復帰するまでかなりの月日が必要でしたが、辞めるという選択肢は誰に何と言われようとも「自由」の幕開けでした。

会社を辞めた後に生活するために必要な手続きを終えて、”泣きっ面に蜂“な金額の税金を納めた後は人一倍の節約を心がけてさえいれば、僕の場合は予想外に「自由」な日々を過ごせています。

会社を辞める前に知った“キャッシュフロー”という言葉の魔力に囚(とら)われると、目の前の「自由」を見過ごして早期退職をすることが恐怖となる。

僕は満足できるキャッシュフローを手に入れる前に「自由」の海に飛び込んでしまいましたが、溺(おぼ)れませんでした。

世の中、誰の考えを基準にするかで幸か不幸か決まる気がします。

僕はブラック企業を辞める前に、辞めたら溺れるという洗脳を毎日受けました。

あれだけ再起不能なまでに日々こてんぱんにやってきたのに、いざ会社を辞めるとなったら洗脳で引き留めにかかってきたのです。

ブラック企業にしがみつかなければならない人たちの基準の考えを押し付けられて、それが真実なのだと思うようになりましたが、洗脳されてブラック企業に残った後を想像すると地獄そのものだったので辞めました。

辞める最後の日の帰り。

会社で唯一話をする同僚と帰り際に一言しゃべりました。

ちなみに普通に話すことも監視され、会社内の私語にはどこかから必ず怒号が聞こえてくるような会社でしたので、その同僚と話しをするのはとても久しぶりでした。

気づくか気づかないかのわずかなお天気雨に僕が気づき「雨かなぁ?」と言いました。

同僚は空を見上げた後、少し離れたところに他の社員がいることに気づき「う・・・ぅ・・・」と声ともつかない声で伏し目がちに答えました。

それが会社を辞める前に僕と同僚が話をした最後でした。